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こんな人におすすめの一冊
- 実話怪談やネット掲示板のまとめが好き
- 「関わってはいけない」禁忌に惹かれる人
- 湿り気のある日本の伝承ホラーに触れたい人
- 現代ホラーを味わいたい人
「このスマホ、絶対に見てはいけない」という警告
本を読んでいて、自分のスマホが怖くなった。
通知が来るたびに一瞬だけ躊躇するようになった。画面のロックを解除する前に、少し息を整えてしまう。これは、フィクションの話を読んだだけなのに——そういう「日常への侵食」こそが、この二冊の狙いなのかもしれない。
知念実希人さんの『スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ』と『閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書』は、「対となる作品」として発表された。
本作は著者初のモキュメンタリー・ホラーへの挑戦であり、これまでの医療ミステリーとは明確に異なる領域に踏み込んでいる。
『スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ』——スマホという形式の革命
あらすじ
大学生の一色和馬は、就活のために「都市伝説調査バイト」を引き受ける。対象は“ドウメキの街”。
だが調査を進めるうちに、自身のスマホ画面に不可解なものが映り込み始める。
スマホ本という設計
本書の最大の特徴は、スマホサイズの装丁と、右ページに「画面」、左ページに「語り」を配置する構造にある。
読者は物語を読むのではなく、“スマホ画面を操作する感覚”そのものに巻き込まれる。
読了体験の二重性
ページ数は少なく短時間で読める。しかし読後に残る違和感は長い。
手軽部読み終えられる「軽さ」と内容の「重さ」が逆転する構造が、この作品の恐怖の特徴でもある。
『閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書』——記録という恐怖
あらすじ
多摩市で起きた猟奇殺人事件。容疑者はフリーライター・八重樫信也。
精神鑑定医・上原香澄が事件記録と面談を重ねるうち、不可解な都市伝説“ドウメキ”の存在へと辿り着く。
インタビュー形式のリアリティ
本作はインタビュー・記録・資料の寄せ集めとして構成される。
それにより「これはフィクションではなく、実際の事件記録なのではないか」という錯覚が生まれる。
ドウメキという怪異
二作品に共通する存在が“ドウメキ”である。
それは単なる怪物としての存在ではなく、「見られること」そのものの恐怖を象徴している。
スマホを通して常に他者と接続される現代において、「視線」はすでに外部からのものではなく、内部に侵入している。
スマホは恐怖の媒体である
スマホは現代人に最も近いデバイスであり、同時に最もプライベートな領域でもある。
その画面に“何かが映る”という設定は、従来のホラーよりも個人の生活に密着している。
見る/見られる構造
本作の恐怖は一貫して「主客反転」にあるのではないか。
こちらが見ているつもりが、気付かぬうちにこちらが見られている。
観察する側が、いつの間にか観察される側へと転換する構造だ。モキュメンタリーの本質
記録形式は冷静な「客観性」を装いながら、むしろ不安を増幅させる。
現実とフィクションの境界が曖昧になり、自身の客観性が脅かされるような不安定な気持ち。
日常が侵食される読書体験
この二作品の恐怖は、”ドウメキ”という怪異そのものではない。
それは「日常的に使っているものが、そのまま恐怖へ転化する」という構造にある。
読了後、スマホを開く手がわずかに止まる——そんな瞬間こそが、この作品の到達点ではないか。
※読む順番は『スワイプ厳禁』→『閲覧厳禁』推奨。




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