違和感と思い込み。|『新装版 殺戮にいたる病』感想&考察

読書感想

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⚠️ ネタバレに関するご注意

この記事には小説『新装版 殺戮にいたる病』の核心に触れるネタバレが含まれています。 未読の方はご注意ください。

違和感と先入観

連続猟奇殺人鬼・蒲生稔。 専業主婦の蒲生雅子。 元刑事の樋口。

冒頭で蒲生稔が逮捕される。 三人それぞれの視点で語られ、 ばらばらだった時間軸が少しずつ近づいていく。

叙述トリックの名作。 鮮やかなどんでん返し。 前評判は十分すぎるほど知っていた。

それでも、私は見事にはまってしまった。

小さな違和感は、いくつもあったのに。

「稔さん、大学はどうしたの?」 休講を“する”のは学生?
鍵はかけているのか、いないのか。
庭に埋められたはずの袋が、息子の部屋にある。
大学生がオジン?
違和感は、散らばっていた。 でも私は、それを深く考えなかった。 “きっとこういうことなんだろう”と、 自分を納得させて読み進めた。   再読してわかった。 伏線は完璧だった。 文章は一度も嘘をついていない。   それなのに、私の頭の中では、

蒲生稔=大学生 蒲生雅子=稔の母親 蒲生家=四人家族

と、勝手に確定していた。 そんな説明は一切なかったのに。

私は、自分で物語を作っていた。

※ページを捲る手を止める「違和感」を、決して見逃さないでください。

終盤、ホテル前。 雅子が死体を確認し、 樋口が「息子さん?」と問う。 雅子が肯定する。

その瞬間、確実な違和感が走った。

稔は逃げているはず。 なのに、息子? でも、私は戻らなかった。 そのまま読み進めてしまった。

そして、ようやく気づいた。 落ちていたのは、私の認知だった。

グロテスクな猟奇殺人よりも怖かったのは、

自分の思い込みだった。

  相手の言葉を、 都合よく解釈していないか。   立場や属性で、 先に判断していないか。   違和感を、 なかったことにしていないか。   自信が、信じられなくなる。
私はまた騙されるだろう。 きっと、これからも。  

自分の違和感を無視したくない。

自分の「認知」、どこまで信じられますか?叙述トリックの最高傑作をその目で確かめてください。</p >

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