映画『邪悪なるもの』感想|悪魔より怖いのは人間だった

映画感想

『邪悪なるもの』を鑑賞。
アルゼンチン発、後味最悪の超弩級ホラー。

映画『邪悪なるもの』とは

『邪悪なるもの』
原題 / 英題
Cuando acecha la maldad / When Evil Lurks
監督
デミアン・ルグナ
制作 / 公開
アルゼンチン・アメリカ(2023)
上映時間
99分
ジャンル
ホラー(絶望系)
鑑賞後感
後味最悪(最高!) / 完全なる敗北
キーワード
#悪魔憑き #7つのルール #一切の容赦なし

アルゼンチンとアメリカの合作映画。
舞台はアルゼンチンの閑静な、しかし閉鎖的な田舎町。

原題は「Cuando acecha la maldad」、
英題は「When Evil Lurks」。
どちらも意味は「悪が潜むとき」

田舎町に住むペドロとジミーの兄弟が、
「悪魔憑き」に遭遇したことから、地獄のような数日間が始まる。

日常を侵食する「容赦のない恐怖」

監督は、2017年の『テリファイド』で世界を震撼させた、
南米ホラー界の旗手デミアン・ルグナ

日常の中に入り込む得体の知れない恐怖と、
子供や動物に対しても一切の容赦がない展開が持ち味。

本作でもその「嫌な予感」は的中。
視覚的なショックだけでなく、
人間の愚かさがじわじわと
状況を最悪の方向へ転がしていく恐怖
が徹底的に描かれる。

冒頭からフルスロットルの衝撃

まず衝撃なのが冒頭のシーン。

悪魔憑きを処理するために向かっていたはずの
専門家である処理人が、森の中で無残に真っ二つに裂かれている

さらに、その後に現れる悪魔憑き。
体はパンパンに膨れ上がり、膿汁が溢れ出し、耐え難い悪臭を放つ……。

この強烈なビジュアルだけで、
「あ、この映画は最後まで逃がしてくれないな」と覚悟を決めた。

無力な人間と、田舎社会の脆さ

さらに恐ろしいのは、事態に直面した人間たちの無力さ。

警察は事なかれ主義で介入に消極的。
地主は自助努力で解決しようとして破滅する。
自力で解決できないレベルの災厄が起きたとき、
地域の絆や個人の善意がいかに脆く崩れ去るか。
その様が容赦なく、冷徹に描かれる。

※ここから先はネタバレを含みます。
未鑑賞の方はご注意ください。

絶望を招く「7つのルール」

物語の途中で、悪魔に対処するための「7つのルール」が明かされる。

  • 電気をつけない
  • 「それ」に近寄らない
  • 「それ」が触れた物を身につけない
  • 「それ」を傷つけない
  • 「それ」を名前で呼ばない
  • 絶対に銃で撃たない
  • 死を恐れない

しかし、本作の真の恐怖はこのルールが提示された後にある。

焦り、恐怖、それから私怨。
人間は、ルールが存在していても、感情ゆえにそれを守ることができない。

ルールが、見事にことごとく破られていく。

電気をつけ、近づき、銃で撃ってしまう。
そのたびに悪魔の囁きは強まり、状況は取り返しのつかない地獄へと加速していく。

人間の愚かさが、悪を育てる

元妻はペドロへの嫌悪から警告を無視し、
ペドロ自身も協力者の忠告を聞き入れない。
現実を直視せず、他人事に考え、
自分に都合よく解釈しようとする人々の姿が
驚くほどリアルで、現代社会の縮図のようにも見える。

結局、悪を広げてしまうのは悪魔そのものではなく、
人間の身勝手さと愚かさ
だという絶望的なメッセージが突きつけられる。

ラストの意味:完全なる敗北の先に

結末は、救いの一切ない「完全な敗北」。

悪魔の拡大は止まらず、
世界はドロドロとした闇に飲み込まれていく。
最後に残るのは、悪魔に完全に敗北した絶望だけ。

しかし、この**後味最悪のバッドエンド**こそが、
この映画の最大の魅力であり、響く理由なのだと感じた。

「イヤミス」ならぬ「イヤホラー」の最高峰。
これからしばらくは、暗い部屋で電気をつけるのが怖くなりそう。


この絶望を何度も味わいたい方に。

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